




ミシガン州アナーバーで設立した自動運転のシステム開発企業、May Mobility。豊田通商は同社へ出資し、自動運転技術の発展と自動運転シャトルサービスの普及を支援している。現在、日本でのサービス展開を目指すべく、一人の若手社員が米国と日本の架け橋として北米の地で奔走している。
※特定の条件下で自動運転システムが車のすべての操作を担う完全自動運転

May Mobilityの自動運転システム、ADK(Autonomous Driving Kit)を搭載するベース車両は、米国と中国のみで生産されており、日本では生産が行われていない。そのため、米国側でADKを搭載した車両を日本へ輸送している。しかし、この方法では日本で事業を展開する上でフレキシブル性に欠けたり、必要とするタイミングで車両を確保できなかったりと、不便な点が多い。
この課題を解決するために、現在、米国での生産ラインを日本に移設するプロジェクトを進行中。移設に伴うタスクの洗い出しや、移設にあたって想定されるリスクの回避方法など、日本側のグループとディスカッションを重ね、アメリカ側と確認を取りつつ、双方の間に立って作業を進めている。
また、日本で自動運転サービスを導入・運用するには多くの課題を解決する必要がある。
May MobilityはBtoG(Business to Government)、つまり地方自治体向けのサービス運営を目的としており、米国では、地方交通事業者の運営を支えるために州や連邦政府から補助金が給付されている。この補助金は運営費だけでなく、サービスの質の向上や事業の発展にも寄与している。
一方、日本では9割以上の交通事業者が赤字とされており、このような状況下でMay Mobilityの自動運転サービスを導入するのは容易ではない。日本でのサービス展開を実現するためには、レベル4の自動運転が可能になった後の事業採算性を、単なる机上の計算にとどめず、積極的なアクションと実証を通じて示していく必要がある。
また、複雑な課題が多いからこそ、日本において本当に自動運転が必要とされるのか、常に原点に立ち返りながら進める姿勢が重要だと考えている。


アナーバーの公道で初めてレベル4の自動運転を試乗した時、曲がり方やブレーキングなどの運転操作の安定性と、まるで人が運転しているような乗り心地の良さに心が躍ったことを覚えています。実際に体験したことで得られた安心して身を預けられるという感覚にMay Mobilityの自動運転技術の進化を実感すると同時に、この技術・サービスをいち早く日本に普及させる段階まで事業を進めていかなければならないと改めて強く思うきっかけにもなりました。

三浦良介TOYOTA TSUSHO
NEXTY ELECTRONICS AMERICA, INC.
May Mobility, Inc.

※所属部署及び内容は取材時のものです。
PICK UP CONTENTS