2008年に入社し、営業経理部でグローバル部品・ロジスティクス本部の経理支援を担いました。入社当時、経理は未知の領域。配属が決まってから、経理に必要な簿記をはじめとした資格取得に取り組むなど苦労の連続でしたが、徐々に数字を見ていく面白さ、数字からビジネスの全体像を理解していく面白さを実感していきました。その後、経理部へ異動し、豊田通商単体の決算業務を担当しました。2014年、7年目で実習生として香港豊田通商有限公司に出向し、香港に赴任。財経業務を中心に人事・総務など、コーポレート全体の業務に携わりました。2016年からは、東京の財務部IR室で投資家向け広報業務に取り組んでいます。

ダイバーシティを実感できたことです。香港は共働きが普通であり、女性の管理職も多く、女性だからと気負うことなくキャリアを積み重ねています。男性だから、女性だから、また、国籍がどこだから、ということではなく、一人の人間として何ができるかを考え、取り組んでいけば良いと思えたことは、私の人生にとって大きなターニングポイントでした。
人と人とが営む仕事。そこで最後に大切なのは相互理解に基づく信頼関係であり、日頃からのあいさつや感謝の気持ち、そして、良心・良識だと改めて見つめ直したのが香港駐在だったと思います。

香港時代の話です。香港豊田通商の社長や現地の経営陣と共に合成樹脂の在庫確認のため、チンタオの倉庫へ行ったことは今でも強く記憶に残っています。夜間のフライトでチンタオへ飛び、車で4時間走り倉庫に向かい、そこから営業部と共に細かな確認を行いました。在庫だけではなく、その保管状況と管理方法から、一つ一つの契約まで精査。日本同様に海外でも、起こり得るリスクを全て潰していく姿勢を見て、現地・現物・現実を大切にして確かな実業を行っていくという、豊田通商に流れる愚直なDNAを、改めて実感しました。豊田通商という会社で働くことのできる誇りを感じた出来事といえます。

香港で働いていた期間に、証券会社の方をはじめ、さまざまな人と会う中で、豊田通商の強みを、財務面から世界に広くアピールしたいという思いを抱きました。そこで出した異動希望が受け入れられ、現在私はIR室で当社と投資家をつなぐ仕事をしています。
IR室の役割は主に2つ。国内外の投資家や株主が、当社価値を正しく判断できるよう、経営状況や財務状況を分かりやすく伝える広報活動と、新しい投資家を開拓するマーケティング活動です。例えば、海外投資家向けの英語開示物の制作や投資家・株主の質疑に応える個別取材やカンファレンスなどを企画・実施しています。

現在、私が担当しているIR業務の面白さは、経営トップに近い場所で仕事ができることです。例えば、私たちの一番大きな業務に決算発表のパワーポイント資料や説明原稿の作成があります。毎回、社長へのインタビューや経営企画や各営業部といった他部との綿密な打合せを行い、テーマ設定から取り組んでいきます。豊田通商のこれからを見据えながら、何を訴えていくか、チームでアイデアを絞り出し、作成していく過程は試行錯誤の連続。経営陣と共に、豊田通商の将来を考えていけることは非常に刺激的で貴重な経験です。
私たちが作りあげるものが、連結で約58,000名の従業員を有する豊田通商の現在・未来として発表されます。社会に問われる責任とやりがいを感じながら、全力で取り組んでいます。

近年、企業の長期的な成長には、ESG投資、Environment、Social、Governanceの3つの観点が重要との考えが広まりつつあり、投資家も高い関心を寄せています。総合商社として豊田通商には、環境（Environment）を見据えた新たなビジネスを創造し、社会に貢献できる力があると思います。その可能性を大きく花開かせていくために、何をしないといけないのかを徹底的に考え抜き、IRとして社内・外に確かな情報発信を行っていきたい。未来の豊田通商の基盤作りに貢献していきたいと考えています。
また、自分自身のビジョンとしては、海外駐在は常に念頭に置いています。海外でさらに視野を広げ、一人の人間として、もっと大きく成長し、キャリアを積み重ね、世界に役立つ仕事をしていきたいと思います。