国内外1,000社以上の子会社・関連会社を有する豊田通商グループ。新たな地平を拓く挑戦によって、日々前進を続けている。未知のリスクを先読みし、時には「If not」を提示しながら世界の最前線で繰り広げられる豊田通商の挑戦を支えていく法務の取り組みをここでは紹介する。
「法務というのは紙の上の仕事ではない」、私はそう思っている。
日本政府などと連携して、某国政府公社に合計4,200億円の融資を行う案件があった。
関係する総合商社5社を束ねる役割として、貸し手・借り手・その他のあらゆる関係者に対して、
融資の前提条件を充足させる責任者を担った。
世界に散らばる関係者を相手に必要書類を最終化させるため、交渉と修正を重ねていく日々。
壁が立ちはだかれば、その壁をどのように乗り越えていくか。
知識とネットワークを最大限駆使し、ゴールに至るあらゆる道を自分の足で模索し続けた。
そうして完成した重要な書類を私自身が世界各地をまわり回収することも、
公証人の印にかかる数十万円の現金を用意するため、
ヨーロッパの街中で銀行のATMを求めてさまよったこともある。
プロジェクトを完遂させていく道は決してまっすぐではない、考え得る全ての道を模索しながら
次に起きることを予測し、準備する大切さを痛感したナショナルプロジェクト。
この体験が今の私の大きな力になっていることは間違いない。
入社し、法務部に配属になった私の引き出しに入っていたDate判。直属の上司の言葉は今でも忘れられない。「出社後、直ちに日付を合わせ、書類受領後直ちにDate判を押せ。自分の書類であることを示すだけでなく、受領日を明確化することで、仕事を滞留させないよう自分を戒めるものがこのDate判であり、私たち法務部の魂なんだ」
以来、数十年、毎朝、このDate判の日付を合わせ続けている。諸先輩方が人生を賭けて果たしてきた法務としての誇りを、今日も引き継いでいくと心に誓いながら。
近藤祐子法務部 部長(現 CFO補佐)
※所属部署及び内容は取材時のものです。