- 森山
- 今日はよろしくお願いします。
まずは皆さんの今までのキャリアと現在のお仕事についてお伺いできますでしょうか。 - 飯坂
- 私は、豊田通商がトーメンと合併した翌年の2007年に入社しました。最初は穀物油脂部に配属となり、飼料原料の輸入を担当。3年目にはスペイン語研修生としてアルゼンチンにも一年間行かせてもらい、帰国後、食料事業部・食料企画部を経て、海外地域戦略部に異動。その後もアフリカビジネスに継続して携わり、現在はトヨタ・モビリティ基金(以下TMF)に出向し、アフリカにおける農村版MaaS※構築に取り組んでいます。
※Mobility as a Service:全ての交通手段による移動を一つのサービスに統合し、ルート検索から支払いまでをシームレスにつなぐこと
- 濵口
- 長くアフリカに携わっているんですね。
- 飯坂
- そうですね。2012年に豊田通商がフランスの大手商社CFAOへ資本参画し、アフリカ事業を強化する流れから継続して携わっています。
- 森山
- 現在はどのような仕事に取り組まれていますか?
- 飯坂
- TMFは、基金なので社会貢献的な取り組み(寄付活動)と思われがちですが、設立の趣旨である「社会貢献事業(ソーシャルビジネス)によって世界中のモビリティ課題をなくしていく」という目標に向けて、事業を開発するときに地場のパートナーを探しながら、中長期的にビジネスを大きくしていくことを目指しています。具体的に私が携わっているのは、電動三輪車のPay-as-you-goビジネスです。ジンバブエの首都ハラレから車で2時間離れた農村に、太陽光パネルとチャージングステーションを設置し、現地の人々が専用アプリから電動三輪車を利用できるビジネスに取り組むスタートアップ企業に対して、人とお金の面から支援しています。
- 小黒
- 現地ではどんな時に乗り物が利用されるのですか?
- 飯坂
- 水汲みや薪集め、また、学校や街に行くための長距離移動の際は今でも徒歩です。そのような移動時間を節約するためや、農作物の運搬に利用することで、日持ちのしない農産物のフードロスの解消にも繋がっています。
- 濵口
- 豊田通商が扱えないような小規模のビジネスも手掛けているという感じですね。
- 飯坂
- はい。こうした草の根的なビジネスを現地の方を巻き込みながら行い、現地の発展に貢献して、長い目線でお客さんをつくっていこうという活動でもあります。
- 森山
- ありがとうございます。そういったところに、長期目線や現地の人々と一緒に汗をかいてビジネスをつくるという、豊田通商のマインドが入っているのでしょうね。続いて、濵口さんはどうでしょうか?
- 濵口
- 私は2009年に入社し、現部署の前身である工業樹脂部へ配属されました。そこで、樹脂原材料のトレーディングと日系家電メーカーの製品OEM※ビジネスに従事し、商社パーソンとしてのビジネスの基礎とモノづくりのイロハを叩き込まれました。2016年には社内制度であるチャレンジポストを使用した、機械・エネルギー・プラントプロジェクト本部電力事業第二部への本部間異動によりキャリアチェンジ。投融資ビジネスに従事し、トレーディングとは異なるスキル・知見を磨きました。その後、豊田通商労働組合に出向し、中央執行委員長として組織マネジメントや経営者の視点を学んだ後、2020年の4月から現在の環境・基礎化学品部へと至ります。
※Original Equipment Manufacture:自社で製造した商品を、他社のブランドで販売すること
- 飯坂
- 現在はバイオポリエチレン担当ということですが、具体的にどのようなことをされていますか?
- 濵口
- 2019年に政府が策定したプラスチック資源循環戦略に基づいて、豊田通商ではさまざまなバイオビジネスに取り組んでおり、その中で私は、バイオポリエチレンという素材に関わっています。
- 森山
- 低炭素化社会や循環型社会への貢献といった、豊田通商のマテリアリティ(重要課題)を担っているビジネスですね。
- 濵口
- はい。豊田通商は、2004年から世界で唯一バイオポリエチレンを生産している、ブラジルの化学品メーカーと一緒に取り組みを続け、ビジネスを育んでいます。環境に貢献する意味あるビジネスと認識し、先駆けて挑んだ結果、欧州を筆頭とした環境意識の高まりを受け、現在は生産が追いつかない状況です。そこで、在庫の管理やトレーディングのオペレーションをしっかり行いつつ、増産体制の構築に向けたメーカーとのパートナシップの強化や出資・事業投資を含めた戦略の立案に取り組んでいます。
- 森山
- ありがとうございます。年次的にも会社的にも重要な役割を担っているかと思いますが、ここに対しての想いなどは、また後ほど聞かせてください。続いて、小黒さんも業務について教えていただけますでしょうか?
- 小黒
- 私は2013年に入社以来、一貫して繊維事業部の営業としてキャリアを重ねています。繊維事業部は、事業会社がいくつもあり、私も入社1年目から出向してお客さんと一緒に服を作っていました。
- 飯坂
- 入社1年目から!?
- 小黒
- そうなんです。3年目には、アメリカ テキサス州のダラスに実習生として駐在して原綿のトレーディングに携わった後、今度は大阪の関連会社へ約2年間出向という感じで、川上から川下まで、国内外の3つの事業会社の現場で営業・物流・経営企画などに従事してきました。その後、出産のために約1年産休・育休を取らせていただき、2020年の6月に復帰しました。
- 濵口
- 様々な経験を積んでいるんですね。
- 小黒
- 2年ずつ職場が変わって、実は今、入社8年目にして初めての本社(東京)勤務なんです。現在の業務は、関連会社の事業管理や新規ビジネスの企画。DX担当という肩書きも持たせてもらっていて、自社の縫製工場の省人化や自動化、生産性向上のための機械開発に取り組んでいます。
- 森山
- 2年ごとに職場環境が変わっているのですね。大変な印象もありますが、毎回変わる環境へ適応するためのマインドなどは改めてお伺いしたいです。この章では、さまざまな舞台で挑戦し続けているお話でしたが、その中でどのように子育てをされているのか、次の章で伺っていければと思います。
※所属部署及び内容は取材時のものです。